荒船山 艫岩 昇天の氷柱?

荒船山 艫岩 昇天の氷柱?

【活動データ】

令和4年1月4日

メンバー:吉田(通称:隊長)、宮崎

タイム:9時間14分 / 距 離:5.9km / 上り↑:683m / 下り↓:689m

【フィールド情報】

荒船山 艫岩(ともいわ) 『昇天の氷柱』

4ピッチ 約130m

Rグレード:4級上

Pグレード:Ⅵ-

日程:日帰り

~核心となるピッチの様子~

「コレは氷柱なのか?」

この言葉とともに、令和4年の初登りは波乱の幕開けとなった。

奥多摩・奥秩父アックス登攀部隊(愛称:たまちち)の今シーズン活動開始。

吉田隊長と「とりあえず、時期も早いだろうしダメ元で行ってみようか。ウォーミングアップだし、状態みて考えよう。」とメジャールートに行ったはずだったのだが…

4ピッチ・約130m 登攀時間:約7時間

確りと奮闘的になりながらも、何とか完登すると言う結果になりました。

久しぶりにアドレナリン全開。

いやぁ、本気(マジ)で痺れました。年明け早々、何故にこんな事を…。

クソみたいな氷でのミックス登攀。それに、ミックス・ワイドクラックなんで初めてやりました。

まぁ自業自得ですよね、とても勉強になりました。

こういった氷結状況の時は、本気でオススメしません(当然かw)。

素直に撤退しましょう☆

《以下、ピッチの感想》
※全ピッチ氷結状態は不明かつ、最初はスタカットで短く切って安全に進んだ為、ピッチ数は増えています。

・1P:85度程度の垂壁 約15m 吉田
(トポグレード:Ⅴ+ 体感:Ⅳ〜Ⅴ)

確り凍ってると思いきや、超微妙な氷結の仕方。スチールスクリューでも決まりにくく、アックスの刺さりも悪い。上部も完全氷結していない為、変な所に上に貫通している穴があり、その手前でピッチを切った。

アックスとスクリューの刺さりが超絶悪く、長いことへばり付く隊長。
「そんなに舐めまわして、ずるいですよ!」と言ったら一蹴された。

・2P:穴の中のベルグラから氷柱 約15m 宮崎
(本来は1P上部 体感グレード:Ⅳ+)

本来は1Pの上部であり氷柱セクション。水量もなく氷結も未発達の為、穴は凍らず露出。中は人が一人通れる程度の幅で、クソみたいなベルクラが張っていた。細い氷をフッキングかつフットホールドにしながら、ジリジリと登る。プロテクションは取れず、ボディジャムを効かせ誤魔化しながらの登攀となった。穴を抜けて、更に上部の小さい氷柱へうつり、氷柱を抜けたら雪付きの大きなテラスで灌木を終了点とした。

2ピッチ目 「何ですかこれは?」という感じの穴の中の氷。

・3P:本来の2P 吉田
(トポグレード:Ⅳ- 体感グレード:Ⅳ+)

微妙な氷柱は下まで繋がっておらず登れそうにないため、また破壊してもアレと言う事で、側壁をドライを交えてのミックス登攀。氷柱の上から氷に乗り移り、イケてないチョックストーンと取り巻く氷を越えて、軽いナメを数m。安定した足場・核心部基部でピッチを切り終了。

氷柱は折らないようにと、右側をドライで登り上部の氷へ移る吉田隊長。

・4P:本来の3P  宮崎
核心部の氷柱状・三段の段瀑
(トポグレード:Ⅵ- 体感グレード:Ⅵ)本来は全体が氷で覆われていて氷柱状になっているはずだが、そんな雰囲気は1mmもない。のっぺりとしたフェースとクソみたいな氷が詰まったMixワイドクラック。下部に2箇所10cmスクリューが刺さったが、ろくに決まってはいない。落下で確実に壊れるだろうな…と言う程度の刺さり方で5〜6mのランナウト、落下したらグランドは免れない恐怖の中、1本のアックスで細い氷を拾い、片足のフロントポイントでフェース面の細いフットホールドに乗りジリジリと登る。途中、錆びたリングボルトがあり何とかクリップして一安心。しかし、そこから上部もあまり状況は変わらず、ボディジャムを交えながら片手のフッキングと片足のフロントポイントでパワームーブ。今までにない奮闘的な闘いとなり、真面目に疲れた。上部はまだマシな氷があり、それを越えて終了点へ。振り返れば、大きなパノラマが広がっていて綺麗であったが、安堵の方が頭を支配していた。

とっても必死だったセクション。まさに「奮闘的」という表現が適切であった。
最終ピッチを前に「クソがぁぁ!」と氷をディスる2人。いやいや、自業自得でしょ。

・5P:本来の4P 吉田
凹角から笠氷を越えて階段状の氷
(トポグレード:Ⅴ 体感グレード:Ⅵ-)

笠氷で有名なセクション。笠氷らしきものはあったが、本来とは打って変わってのミニマムサイズ。凹角内の氷もベルクラ同然、プロテクションも取れる場所はなく、ボロいハーケンのある所までは5〜6m。アックスもろくに効かず、凹角状チムニーを奮闘そのものの登りでジワジワと上がる。ここで、隊長が見せてくれた。「何ちゅームーブや!」と言う感じで、慎重かつ丁寧にまたアクロバティックに上がっていく。何とか1ピンとれたが、その後もクソみたいな氷の中、ドライを交えつつ、ミニマム笠氷を越える。あとは枯れ葉混じりの氷のナメを登り、頂上の木で支点をとって無事にトップアウト。

あれれ…笠氷は?ミニマム・笠氷と戯れる、吉田隊長。

7時間にも及ぶ奮闘的な闘いを繰り広げ、痺れ過ぎてトップアウトとともに2人で昇天。

正に昇天の氷柱(?)でした。

見事、昇天した二人。この後は、まぁ酷い余韻に浸りながら帰還しました。(冗談、楽しかったです:笑)

冒険は続く…。